母のLINEがホラー級にカオスな件。スタンプ1つで繰り広げられる「誤解の迷宮」
ある日の午後、私のスマホが狂ったように震えだした。仕事中に通知音が鳴り止まないのは嫌な予感しかしない。画面を確認すると、送り主は「母」。
普段は「了解」「ありがとう」といった、定型文しか打たないIT音痴の母だ。そんな母から届いたのは、語彙力ゼロのスタンプ連打だった。
第一段階:謎の侵略者
母(14:32): [謎の力士が空を飛んでいるスタンプ] [魚の頭に人間の顔がついたスタンプ] [「あ、それな」と書かれた虚無顔の猫スタンプ]
……誰だお前は。
私は思わずスマホを机に置いた。母のスマホに誰かが憑依したのか、それとも孫の手が誤操作を極めたのか。とりあえず、「お母さん? 何かあった?」と返信した。
第二段階:母なりの「ネットリテラシー」
数分後、返信が来た。
母(14:40): 「〇〇ちゃん(私の本名)、これ見て! ネットで『無料で使える可愛いスタンプ』ってやつ探したの。すごくない? 感情表現が豊かで便利だわ」
どうやら母は、LINEアプリ内の「スタンプショップ」ではなく、ブラウザの画像検索で適当に見つけた怪しいフリー画像を保存し、一つずつ送信していたらしい。しかも、なぜ力士が空を飛んでいる画像を「可愛い」と判断したのか。私の母の情緒は、どこかでバグったらしい。
第三段階:誤解の頂点
私は冷静に、それが「スタンプ」ではなく「単なる画像」であること、そしてこれらが一般的には「シュール系」と呼ばれ、状況を選ばないと相手を不快にさせる可能性があることを説明した。
すると、母から渾身の反論が返ってきた。
母(14:55): 「え? 違うの? さっき近所の人にこの『魚の顔のスタンプ』送ったら、『……奥さん、何かあったんですか?』って心配そうな電話がかかってきたわ。やっぱり、今の時代の挨拶はこれくらいインパクトがないと伝わらないのかと思ってた」
待て。近所の人に何を送ったんだ。 というか、その「魚の顔」は明らかに誰かを呪うような眼差しをしている。
結末:誤解は解けず、伝説へ
結局、母は「ネット上の画像は全部スタンプだと思っていた」という、令和の時代に突如現れたデジタル難民の悲劇を体現していた。
「今度帰った時にスタンプの正しい使い方を教えるよ」と打つと、母は最後に「わかったわ、これからはこれにする!」と言い放ち、一枚の画像を送信してきた。
[『爆発する地球』のフリー素材]
……母さん。それはもう、会話の終わりどころか世界が終わる合図だよ。
私はそっと通知をオフにして、仕事を再開することにした。我が家のLINEが平穏を取り戻すには、もう少し時間がかかりそうだ。
