我が家の猫、どうやら自分を「ルンバ」だと思っているらしい
猫というのは自由気ままな生き物だ。しかし、我が家の愛猫・ポテト(3歳・茶トラ)の自由さは、少々ベクトルがズレている。
多くの猫が「高いところが好き」だとか「箱に入りたがる」といった、いわゆる猫らしい習性を見せる中、ポテトが日課にしているのは「床の拭き掃除」である。しかも、自分の体を使って。
突如始まる「猫ルンバ」タイム
毎朝、私がコーヒーを淹れていると、どこからともなく「シュッ、シュッ」という小気味よい音が聞こえてくる。リビングを覗くと、ポテトが四肢を限界まで広げ、腹を床にべったりと密着させている。
そこまではいい。問題はその後だ。ポテトはそのままの姿勢で、まるでホッケーのパックのように、ジリジリと床を滑りながら移動し始めるのだ。
「何をしているんだ、お前は」
そう声をかけても、ポテトは真顔だ。両前足で器用に床を掴み、後ろ足で勢いよくキックして前進する。その姿は、かつて我が家にあった旧式のルンバと完全に一致する。唯一の違いは、ルンバよりも圧倒的に毛が抜けるため、掃除どころか「毛を撒き散らしている」という点だ。
効率を無視した謎のこだわり
一度、掃除機をかけている最中にポテトが乱入してきたことがある。ルンバ気取りのポテトは、本物の掃除機に対して強烈なライバル心を燃やしたのか、あろうことか掃除機のヘッドにぴったりと寄り添い、併走を始めたのだ。
掃除機が右に動けばポテトも右へ。掃除機が左へ行けばポテトも蛇行。 二台の掃除機がリビングを行き来する光景は、もはやシュールな前衛芸術だった。結局、掃除機が家具にぶつかって方向転換した際、ポテトも勢い余ってラグに激突し、不本意ながらルンバ特有の「エラー音」のような情けない鳴き声をあげていた。
究極の「自己満足」
なぜそんなことをするのか、専門家ではないので理由は不明だ。ただ、ポテトがこの「拭き掃除(自称)」をした後は、なぜか床がほんのり温かい。
「お前が掃除してくれるのは嬉しいけど、毛が……」と言いながらコロコロをかけるのが、我が家の平和な朝のルーティンとなっている。
昨夜も、ポテトは満足げに床を滑り終えると、私の足元にやってきて、誇らしげに腹を上に向けて寝転がった。「どうだ、綺麗になっただろ?」と言いたげなその顔に、ついこちらも笑ってしまう。
今日も我が家は、毛だらけの床と、最高に愛おしいルンバもどきと共に、穏やかに回っている。まあ、本物のルンバを買う金が浮いたと思えば、悪くない「癖」なのかもしれない。
