「AIに書かせたラブレター」で恋を叶えようとした男の末路。返信が地獄すぎた件
恋に落ちた男は、時に理性を失う。そして現代の男は、理性を失うと同時に「最新AI」をインストールしてしまう。
これは、自分の文章力に絶望した哀れな男(私)が、AIに全権委任して意中の彼女にラブレターを送りつけ、爆速でブロックされるまでの完全記録である。
第1章:AIに託した「完璧な告白」
彼女は文学的で、少し繊細な性格だ。不器用な僕の言葉では彼女の心は動かせない。そこで僕は、巷で噂の最新対話型AIにこう打ち込んだ。
「片思いの相手に、誠実かつ情熱的で、知性あふれるラブレターを書いて。相手は文学が好き。文字数は800字程度で」
数秒後、画面に現れたのは、もはや詩集の抜粋のような名文だった。「夜空に浮かぶ銀河よりも君の瞳は輝いており」「存在そのものが僕の人生というキャンバスに彩りを添える」といった、人間が書けば3分で赤面して死ぬようなキザなフレーズが、完璧な日本語で並んでいた。
僕は酔っていた。AIの知性に、そして自分の恋心に。深夜2時、迷わず「送信」ボタンを押した。
第2章:返信が「冷酷な解析結果」だった
翌朝、スマホが震えた。彼女からの返信だ。期待に胸を膨らませて開いたその画面に、僕は凍りついた。
「これ、AIですよね?」
一行で終わっていた。続くメッセージを見て、背筋が寒くなる。
「昨夜の文章、段落ごとの構成と形容詞の使い方が、完全に私の使っているAIの『クリエイティブ・モード』と同じです。あなたは私のことを想っているのか、それとも単にAIの推論結果をコピー&ペーストしただけなのですか? 非常に不愉快です」
地獄の開幕である。AIは完璧だった。完璧すぎたのだ。彼女もまたAIを使いこなす理系女子であり、その「AI特有のくどい言い回し」を即座に見抜いたのである。
第3章:言い訳という名の「さらなる地獄」
僕はパニックになった。ここで認めれば終わると思い、僕は再度、AIに「彼女の怒りを収めるための謝罪文」を作成させた。
「AIの力を借りてしまったのは事実です。ですが、君への想いが本物だからこそ、最高の言葉を贈りたいと焦ってしまいました」
この返信を送った瞬間、彼女からの返信が爆速で返ってきた。
「謝罪文までAIですか。句読点の位置と、接続詞の『ですが』の使い方が、さっきのラブレターのアルゴリズムと完全に一致しています。……もういいです。あなたの言葉が一つも聞けないなんて、時間の無駄でした」
終章:そして訪れた静寂
数分後、LINEのアイコンが消えた。僕の画面には「メンバーがいません」という残酷なテロップだけが浮かんでいる。
AIは言った。「あなたの恋をサポートできて光栄です」と。 しかし、彼女が去った今、僕に残されたのは、完璧に整えられた美文と、消し去られた連絡先だけだ。
教訓:AIは詩を書くには優秀だが、愛を育むにはあまりに「空っぽ」すぎる。そして、好きな相手ほど、その違和感を嗅ぎ分ける鋭い嗅覚を持っているものだ。
もしあなたが今、AIに恋文を頼もうとしているなら、今すぐスマホを置いて、自分の拙い言葉で「好きです」とだけ言ってみてほしい。少なくとも、AIの完璧な文学でブロックされるよりは、人間らしくてマシなはずだから。
