30代、健康に目覚めた結果「むしろ命を削る」ことになった話
「あれ? もしかして私、もう若くない?」 30歳の誕生日の翌朝、洗面所の鏡に映った自分の顔を見て、私は悟った。そこにいたのは、深夜2時のカップ麺が翌朝の胃に完璧なまでの「居座り」を見せている、絶望的なほど重力に従順な顔だった。
ここから私の、悲劇的かつ滑稽な「健康意識高い系(自称)」への道が幕を開けた。
深夜のスクワットという名の自爆テロ
まず着手したのは筋トレだ。といっても、ジムに通うような計画性はない。深夜1時、「よし、今日から私はアスリートだ」という謎の使命感に駆られ、YouTubeの「3分で腹筋が割れる」動画を再生した。
勢いよくスクワットを50回。床に響く足音を近所に詫びつつ、アドレナリン全開で追い込んだ結果、翌朝、私の体は「錆びついたロボット」と化した。
ベッドから起き上がろうとした瞬間、下半身から「ビキッ!」という嫌な音が脳内に響く。トイレに行くまでの3メートルが、まるでエベレスト登頂のような過酷な道のりに変わっていた。結局その日は会社を休み、「急な発熱」という、嘘ではないが少し後ろめたい理由で一日中布団で丸まっていた。筋肉痛という名の筋肉からの復讐である。
「意識高い系」の代償、高級青汁の罠
「筋トレがダメなら、まずは体内から改善だ」 次に私は、Instagramで見かけた、一包500円もする「奇跡のデトックス青汁」に手を出した。有機栽培、無農薬、何やら高級なスーパーフードがふんだんに詰め込まれたその粉末を、私は救世主のように水に溶かして一気に飲み干した。
「これで私の腸内フローラは、今ごろお花畑だ」 そう確信した30分後、私のお腹は激しい地鳴りを上げ始めた。あまりの成分の純度と、私の長年ジャンクフードに甘やかされてきた脆弱な腸が、まさかの真っ向対立を起こしたのだ。
その日、私はトイレとリビングを往復するだけの生活を送り、結果として体重は2キロ減った。だが、それは健康的な引き締めではなく、純粋に「水分と体力の流出」によるやつれである。青汁を飲む前より確実に顔色が悪い。
結論:健康は「ゆっくり」がいい
今、私はまたベッドの中で、湿布の匂いに包まれながらこの原稿を書いている。
ふと気づいた。30代の健康作りとは、「急激な変化」を求めることではなく、「いかに現状維持(という名の衰えの阻止)をするか」という、地味で根気強い戦いなのだと。
あんなに躍起になって高級青汁を飲み、深夜にスクワットをしていた自分が愛おしい。今はただ、常温の水と、腹八分目の夕食が、私にとって一番の「健康法」だ。
次に健康に目覚める時は、もう少し賢くありたい。まずは、明日こそは湿布を剥がして、普通に歩くことから始めようと思う。
