意識高い系への道は、泥水の味と肉離れで舗装されていた
「朝5時起き、ヨガ、読書、そしてコールドプレスジュース」。 この文字列を見ただけで、成功の階段を一段飛ばしで駆け上がっているような高揚感がある。私は決意した。今日から私は、生産性を極めし「朝活マスター」になる。
しかし、私の意識高い系ライフは、歴史に残るほどの短期間で崩壊した。これは、私の誇り高き三日坊主の記録である。
1日目:午前5時、意識の高さが空回りする
アラームを4時45分にセットし、気合十分で就寝。しかし、身体は嘘をつかなかった。目を開けると、窓の外はすでに太陽が燦々と輝き、時計の針は「7時30分」を指していた。
「寝坊だ」。
飛び起きた私は、昨夜買っておいた意識高い系食材をミキサーに放り込んだ。小松菜、ケール、バナナ、そしてなぜか勢いで買ってしまった謎のプロテイン。ボタンを押すと、轟音とともに完成したのは、鮮やかな緑色……ではなく、濁った「泥のような何か」だった。
一口飲んで確信した。これは自然の恵みではなく、ただの「草味の泥」だ。
2日目:ヨガマットの上で起きた悲劇
朝のルーティンには、やはり身体の浄化が必要だ。私はYouTubeで「初心者向け・瞑想ヨガ」の動画を開き、気取ったポーズでマットに座った。
インストラクターの「深く、深く呼吸して……」という囁きに合わせて、背中を伸ばし、足を無理やり天高く上げた瞬間だった。
「ブチッ」
何かが切れた。耳元で弾けるような音がしたかと思えば、直後に足の付け根あたりに激痛が走り、私はカメのようにひっくり返った。生まれて初めての肉離れ。ヨガマットの上で悶絶する自分を鏡で見て、悟った。「今の自分には、ポーズよりも安静が必要だ」と。
3日目:意識の低下、そして終焉
もはや身体はボロボロである。スムージーは泥のように苦く、足は引きずらなければ歩けない。
「これぞ、成長への産みの苦しみか?」
いや、違う。これはただの「過剰摂取と無謀なストレッチによる自滅」だ。私は迷わずスマホを取り出し、デリバリーアプリでピザを注文した。チーズがとろける熱々のピザを口に運びながら、私は改めて誓った。
「早起きもヨガも、私には早すぎた」
私の意識高い系ライフは、3日間で幕を閉じた。今、私の部屋には、二度と使われることのないヨガマットが、壁際で切なそうに丸まっている。
もしあなたが明日から朝活を始めようとしているなら、これだけは言っておきたい。 まずは、カーテンを開けて深呼吸するだけでいい。ミキサーを買うのは、それからでも遅くはない。
